現代人は、なぜこんなにも疲れているのか。
「何もしていないのに疲れる」
「休日なのに動けない」
「夜になると考えられなくなる」
こうした感覚を持つ人は多いと思う。
私自身、会社員・育児・副業・改善活動を並行する中で、あることに気づいた。
それは、
人間が1日に使える“判断資源”には限界がある
ということだ。
今回は、この「判断資源」という考え方を、高速道路運転を基準にしながら整理してみたい。
判断資源とは何か
ここで言う判断資源とは、
- 集中力
- 注意力
- 意思決定力
- 感情制御
- 優先順位付け
- リスク判断
などを含めた、脳の“実行エネルギー”のことだ。
現代人は、
- 仕事
- 育児
- SNS
- 通知
- 将来不安
- 家事
- 人間関係
によって、常にこの資源を消耗している。
重要なのは、
「時間」より「判断」が人を疲れさせる
という点だ。
高速道路運転を基準にすると分かりやすい
判断資源は見えない。
だから感覚的に理解しづらい。
そこでおすすめなのが、
「高速道路の運転」を基準に考えること
だ。
高速道路運転は、
- 注意維持
- 危険予測
- 眠気対策
- 集中維持
- 周囲監視
が必要で、判断資源をかなり消費する。
感覚的には、
| 行動 | 判断資源 |
|---|---|
| 高速道路30分 | 軽〜中 |
| 高速道路1時間 | 中〜やや高 |
| 高速道路4時間 | 高 |
くらいのイメージになる。
この「高速道路何時間分か?」で考えると、日常の負荷がかなり見えやすくなる。
普通の人が1日に「高品質な判断」を維持できる量はどのくらいか
では、普通の人は1日にどのくらいの判断資源を使えるのか。
高速道路運転を基準にすると、私の感覚では次のようになる。
これは「理論上の限界」ではなく、“高品質な判断を長期的に維持できる安全ライン”に近い。
| 状態 | 1日に安全に使える判断資源 |
|---|---|
| 疲れている日 | 高速道路1〜2時間分 |
| 普通の日 | 高速道路4〜5時間分 |
| 調子が良い日 | 高速道路5〜6時間分 |
| 一時的なフル稼働 | 高速道路7〜9時間分 |
| 連日続けると危険なライン | 高速道路6時間分以上 |
ここで重要なのは、これは「理論上の限界」ではなく、長期的に生活を崩さずに使える安全ラインという点だ。
人間は一時的にはもっと頑張れる。
しかし、毎日判断資源を使い切る生活を続けると、次第に判断の質が落ちていく。
判断資源を使い切ると何が起きるか
判断資源が減ってくると、人は次のような状態になりやすい。
- 面倒なことを先送りする
- 小さなことでイライラする
- 食事や買い物で雑な選択をする
- SNSや動画など受動的な娯楽に流れる
- 本当は重要なことを考えられなくなる
- 「もう何でもいい」と感じる
これは意志が弱いからではない。
脳が、これ以上重い判断を避けようとしている状態だ。
だから、平日の夜に重要な判断をしようとしても、うまくいかないことが多い。
それは能力の問題ではなく、判断資源の残量の問題である。
会社員の平日は、すでにかなり消費している
一般的な会社員の場合、8時間勤務だけでかなりの判断資源を使っている。
高速道路運転に換算すると、会社勤務だけで次のくらいになる。
| 仕事タイプ | 高速道路運転換算 |
|---|---|
| 単純軽作業中心 | 1〜2時間 |
| 一般的な事務職 | 3〜4時間 |
| マルチタスクが多い仕事 | 4〜5時間 |
| 管理職・開発職・調整業務 | 5〜7時間 |
| 夜勤・強ストレス環境 | 6〜8時間 |
つまり、普通の会社員でも、平日の仕事だけで1日の安全ラインをかなり使っている。
そのため、帰宅後に残っている判断資源は多くない。
| 平日の状態 | 帰宅後に残る判断資源 |
|---|---|
| 余裕のある勤務日 | 高速道路1〜2時間分 |
| 普通の勤務日 | 高速道路30分〜1時間分 |
| 忙しい勤務日 | ほぼゼロ |
| 強ストレス・残業あり | マイナス状態 |
この状態で、家電選び、家計見直し、転職判断、副業判断などを行うと、判断ミスが起きやすい。
休日に使える判断資源も無限ではない
休日は、平日より判断資源を使いやすい。
しかし、休日は「判断する日」であると同時に、「回復する日」でもある。
ここを間違えると、休日に予定を詰め込みすぎて、月曜時点ですでに疲れている状態になる。
| 休日の状態 | 使える判断資源 |
|---|---|
| 疲労が残っている休日 | 高速道路1〜2時間分 |
| 普通の休日 | 高速道路2〜4時間分 |
| よく眠れた休日の午前 | 高速道路3〜5時間分 |
| 家族イベント・外出あり | 判断に使える残量は大きく減る |
| 旅行・大型買い物の日 | それ自体で高速道路3〜6時間分消費 |
休日だからといって、重い判断を何個も入れると、簡単に使い切ってしまう。
特に、家族イベント、買い物、旅行、外食、子どもの対応が入る休日は、それだけでかなり判断資源を消費する。
一般会社員の仕事はどのくらい重いのか
多くの人は、
「仕事=8時間拘束」
と考えている。
しかし実際には、
“脳の警戒状態”
が疲労の本体だったりする。
例えば会社では、
- メール
- Teams通知
- 会議
- 上司対応
- 納期
- ミス回避
- 空気を読む
- 割り込み対応
が常時発生する。
つまり会社は、
強制マルチタスク環境
なのだ。
これを高速道路換算すると、
| 仕事タイプ | 高速道路換算 |
|---|---|
| 単純軽作業 | 1〜2時間 |
| 普通の事務職 | 3〜4時間 |
| マルチタスク業務 | 4〜5時間 |
| 管理職・開発職 | 5〜7時間 |
| 夜勤・強ストレス環境 | 6〜8時間 |
くらいになる。
つまり、多くの会社員は、
平日だけでかなりの判断資源を使い切っている
可能性が高い。
育児は「もう一つの勤務」だった
さらに重いのが育児だ。
特に未就学児育児は、
- 安全監視
- 感情対応
- 癇癪対応
- 着替え
- 食事
- 寝かしつけ
- 兄弟調整
など、低〜中強度の判断が無限に発生する。
特に夕方は重い。
- 親も疲れている
- 子どもも疲れている
- 時間制限がある
- やることが集中する
ためだ。
高速道路換算すると、
| 育児内容 | 高速道路換算 |
|---|---|
| 子ども1人を2〜3時間見る | 1〜2時間 |
| 子ども2人対応 | 2〜3時間 |
| 夕方〜寝かしつけ | 2〜4時間 |
| ワンオペ半日 | 4〜6時間 |
| ワンオペ丸1日 | 6〜10時間 |
くらいになる。
つまり、
仕事+育児
は、かなりの高負荷状態なのだ。
日常ルーティンも判断資源を消費する
日常ルーティンは、一つ一つは小さい。
しかし、毎日何度も発生するため、積み重なるとかなり判断資源を消費する。
高速道路運転に換算すると、目安は以下のようになる。
| 日常ルーティン | 高速道路運転換算 |
|---|---|
| いつもの朝食・飲み物を選ぶ | 1〜3分 |
| 服装を毎回考える | 5〜15分 |
| 今日の昼食・夕食を考える | 10〜30分 |
| スーパーやコンビニで迷う | 10〜30分 |
| 家族の予定調整 | 15〜45分 |
| 家事の優先順位を考える | 15〜60分 |
つまり、日常ルーティンは「小さい判断の集合体」だ。
一つは軽くても、朝から晩まで積み重なると、高速道路1〜2時間分くらいの判断資源を使っている日もある。
だから私は、服・飲み物・食事・消耗品などをできるだけ固定化している。
これは単なる時短ではない。
小さい判断を減らし、重要な判断に判断資源を残すため
である。
改善案件は、QOLを上げる一方で判断資源を大きく消費する
QOL改善やROI改善は、人生を楽にするために重要だ。
しかし注意したいのは、
改善案件そのものが、短期的には大きな判断資源を消費する
という点だ。
例えば、冷蔵庫、乾太くん、NAS、Wi-Fi、収納、カーテン、住宅暑さ対策などは、導入後は生活を楽にする。
しかし導入前には、
- 何を買うか
- どこで買うか
- いくらまで出すか
- 家族に受け入れられるか
- 設置できるか
- 失敗した場合どうするか
- 長期的に本当に使うか
を考える必要がある。
これを高速道路運転に換算すると、以下のようになる。
| 改善案件 | 高速道路運転換算 |
|---|---|
| 小さな日用品改善 | 15〜45分 |
| 収納・ゴミ箱・カーテンなどの生活改善 | 30分〜2時間 |
| 小型家電・ガジェット導入 | 1〜3時間 |
| 冷蔵庫・乾太くん級の大型家電 | 3〜5時間 |
| 工事・家族調整・生活導線変更を含む案件 | 4〜8時間以上 |
| 住宅改善・独立判断・転職判断など | 6〜10時間以上 |
つまり、改善案件は「やれば楽になる」一方で、検討段階ではかなり重い。
ここを見落とすと、QOLを上げるための活動で、逆に疲れてしまう。
だから改善案件は、
新規案件を増やしすぎず、重い案件は同時に走らせない
ことが重要になる。未経験分野ほど判断資源を使い、経験済み分野ほど軽くなる
改善案件の重さは、金額だけでは決まらない。
むしろ大きいのは、
その分野を過去に経験したことがあるか
である。
初めての分野では、判断軸そのものを作る必要がある。
一方で、一度経験した分野では、過去の判断軸を再利用できる。
この違いはかなり大きい。
| 案件タイプ | 特徴 | 高速道路運転換算 |
|---|---|---|
| 初めての分野 | 判断軸がない。調査・比較・失敗リスクが大きい | 2〜5時間 |
| 初めての商品カテゴリ | 相場・メーカー・注意点を調べる必要がある | 1〜3時間 |
| 家族・生活導線に影響する案件 | 自分だけで決められず、失敗時の影響も大きい | 3〜8時間 |
| 過去に似た経験がある案件 | 比較軸を一部流用できる | 30分〜2時間 |
| すでに型がある案件 | 選定基準が決まっている | 10〜45分 |
| リピート購入・置き換え | ほぼ実行だけで済む | 1〜10分 |
例えば、ゴミ袋選びも初回はそれなりに考える。
サイズ、厚み、破れにくさ、価格、使い勝手を比較する必要があるからだ。
しかし一度、
70L、0.045〜0.05mm、業務用寄り、破れにくさ優先
という型ができれば、次回以降はかなり軽くなる。
これは高速道路運転換算で、初回は30分〜1時間でも、次回以降は5〜10分程度まで落ちる。
つまり、判断資源を減らすうえで重要なのは、
すべてを毎回ゼロから考えないこと
である。
判断資源を守るためには「型化」が重要になる
一度経験したことを、毎回ゼロから考えてはいけない。
判断資源を守るためには、次のように分類するとよい。
| 分類 | 対応方針 |
|---|---|
| 新規開拓案件 | 月1個程度に絞る |
| 型化済み改善案件 | AIや過去メモを使って80点で決める |
| リピート・置き換え案件 | ほぼ自動で処理する |
特に重要なのは、新規開拓案件を増やしすぎないことだ。
新規改善は魅力的に見える。
しかし、冷蔵庫、乾太くん、NAS、Wi-Fi、住宅暑さ対策のような案件を同時に進めると、それだけで判断資源を使い切ってしまう。
逆に、すでに型がある案件は、積極的に省エネで処理してよい。
これは手抜きではない。
重要な判断に脳を残すための戦略
である。
人は毎日、想像以上に多くの判断資源を使っている
ここで誤解しないようにしたいのは、
人間の判断資源は、高速道路2〜3時間分しかない
という意味ではない。
実際には、普通の人でも毎日かなり多くの判断資源を使って生活している。
会社に行き、通勤し、人と話し、家事をして、家族対応をして、スマホの通知に対応する。
これらをすべて含めると、一般的な人は1日に高速道路6〜12時間分くらいの判断資源を使っていると考えた方が現実に近い。
特に会社員の場合は、
| 項目 | 高速道路運転換算 |
|---|---|
| 通勤 | 30分〜2時間 |
| 8時間勤務 | 3〜6時間 |
| 家事・生活対応 | 1〜2時間 |
| 育児・家族対応 | 1〜5時間 |
| 平日の総消費 | 6〜12時間 |
くらいの負荷になる。
つまり、多くの人は「判断資源が少ない」のではなく、日常生活だけでかなり使い切っているのだ。
問題は「追加で高品質な判断をする余力」が少ないこと
人間は、判断資源を使い切ったからといって、すぐに動けなくなるわけではない。
疲れていても、会社には行ける。
通勤もできる。
家事も最低限できる。
子どもの対応もする。
つまり、人はかなり無理をしてでも日常生活を回すことができる。
しかし問題は、
重要な判断の質が落ちる
ことだ。
例えば、疲れている平日の夜に、
- 転職判断
- 副業判断
- 投資判断
- 大型家電の比較
- 住宅改善
- 家族の将来設計
- 新しい改善案件の検討
をしようとしても、判断の質は落ちやすい。
これは能力が低いからではない。
すでに日常生活で判断資源をかなり消費しているからだ。
追加で使える「高品質な新規判断」は1〜3時間分しか残っていない
一般的な人でも、1日の総消費としては高速道路6〜12時間分の判断をしている。
しかし、そのうち多くは、
- 慣れた通勤
- 慣れた仕事
- 慣れた家事
- 慣れた人間関係
- 習慣化された生活
で使われている。
これらは疲れていても、ある程度は惰性や習慣で回せる。
一方で、新規の判断は別だ。
新しい分野を調べる。
初めての商品を比較する。
将来の方針を考える。
家族に影響する決断をする。
こうした判断には、かなり高品質な判断資源が必要になる。
そのため、一般的な会社員が平日に追加で使える高品質な新規判断の余力は、せいぜい高速道路1〜3時間分以下と考えた方がよい。
忙しい日や育児がある日は、ほぼゼロに近いこともある。
現代人は「判断余力がないまま生活している」
この視点で見ると、現代人が疲れている理由が分かりやすい。
多くの人は、毎日かなり多くの判断資源を使っている。
しかし、そのほとんどは、
- 会社
- 通勤
- 家事
- 育児
- 人間関係
- スマホ通知
- 生活維持
で消費されている。
その結果、本当に重要なことを考える余力が残りにくい。
だから、
- 副業を始めたいのに進まない
- 転職を考えたいのに動けない
- 家計改善をしたいのに先送りする
- QOL改善をしたいのに面倒になる
- 将来設計を考える気力がない
という状態になる。
これは「やる気がない」のではなく、高品質な判断に使える余力が残っていないだけだ。
だからこそ判断資源管理が必要になる
この前提に立つと、重要なのは根性ではない。
重要なのは、
判断資源をどこに使うかを設計すること
である。
日常生活で高速道路6〜12時間分の判断資源を使っているなら、追加の新規判断を無計画に入れる余裕はあまりない。
だからこそ、
- 平日夜に重大判断をしない
- 新規改善案件は休日午前に回す
- 小さな判断は型化する
- リピート購入は自動化する
- 80点で十分な案件は深追いしない
という設計が必要になる。
判断資源を増やすことより、無駄な判断を減らすこと。
これが現代人にとって、かなり重要な生活戦略になる。
この記事が参考になれば幸いです。
このブログでは、日々の判断や行動を少しずつ仕組み化する「自動化思考」についてもまとめています。
興味がある方は、こちらのシリーズ記事もあわせて読んでみてください。
